
2025年2月14日、M-GAMING A01アーケードコントローラーの製造現場に潜入しました。今回の訪問には、共同開発に携わったプロゲーマーのNemo氏も同行。筐体の要となるメタルボディの金属加工は、大阪府大阪市に拠点を置く株式会社イーエムオーが担当しています。さらに、Brook製の高機能コントロールボード「Gen-5X」を用いた配線・組み立ては、大阪府堺市のAiL株式会社の協力を得て行われました。この記事では、製造におけるこだわりのポイントと現場の様子を詳しくお届けします。


M-GAMING A01 Arcade Controller シャドウブラック

01 切り抜き
A01アケコンは、厚さ1.0mmの日本製鋼板を採用し、精密な加工技術で作られています。まず、『NCレーザーカッター機』を使用して、パーツごとに異なる形にカットします。このNCレーザーカッター機は、プログラム通りに材料をカットし、0.01mm(100分の1ミリ)の精度で加工が可能です。




02 バリ取り
カットした鋼板の『バリ』をバリ取り機を使って取り除きます。海外では、この工程を省略したり、手作業でバリを取ることも多いです。
バリ:カットしたときにできる尖りや出っ張りのこと
03 曲げ加工
『プレスブレーキ加工機』で鋼板を正確な角度に曲げます。この機械は、あらかじめ入力された角度と寸法通りに曲げ加工を行いますが、素材を挿し込む角度が正しくないと、入力通りの角度になりません。作業者の熟練した技術が合わさって初めて正確な加工が実現します。




04 溶接
注目ポイント
『ファイバーレーザー溶接機』で各パーツを溶接します。一般的な溶接に比べ低い温度で溶接を行うことができ、素材に焼けやひずみが起きにくく、より綺麗で精度の高い加工が可能です。A01アケコンの筐体を製造する工程での注目ポイントです。
05 研磨
溶接が終わった本体をディスクグラインダーできれいに磨きます。




06 塗装
下処理を行ったあとに、『粉体塗装』を行います。この塗装は塗膜が厚く、小さなキズでは塗装面が剝がれません。
07 配線・組立
制御盤などを組み立て・製造しているプロの電気屋さんで、組み立て・配線を行います。ボタン・レバーを取り付けた天板を取り付けて完成です。レバー、押しボタンスイッチは三和電子製、コントロールボードはBrookの最新GEN-5Xを採用し、押しボタンへの配線は日本メーカーのロック付きファストン端子を使用しています。



こだわり
- 天板は格ゲーマーのハードな使用に耐えられるように、塩ビ樹脂製パネルとそれを補強する鋼板の二重構造になっています。
- スイッチの操作音が内部にこもらないように筐体側面にスリットが入っています。
- 天板を外さなくても、ジョイスティックレバー、押しボタンスイッチの交換などメンテナンスできるように底面には工具不要で開くことができるドアが付いています。

